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AIが苦手なことと、失敗から学べること――Microsoftの研究者が語る「驚くべき誤り」

2026/10/07

AIの「驚くべき失敗」とは何か

Microsoftリサーチは、パートナー研究マネージャーのJennifer Nevilleが出演するポッドキャストエピソードを公開した。Nevilleはパデュー大学のコンピュータサイエンス・統計学の教授職も兼ねており、機械学習やAIをインタラクティブな領域・構造化データに適用する研究を長年にわたって手がけてきた人物だ。

今回のエピソードでは、Microsoftリサーチの応用科学者Chad Atallaとの対話を通じて、AIシステムが従来のベンチマークの外でテストされたときに顕在化する「驚くべき失敗」 について掘り下げている。Nevilleによれば、評価という行為そのものが今日のAIシステムの性能限界を押し広げ、ユーザーニーズに応える上で重要な役割を担うと指摘されている。

また、結果が期待を裏切った場合にデータを注意深く観察することの重要性や、数十年にわたるAI進歩が「次に何が来るかを予測すること」についていかに教えてくれたかも語られた。Nevilleの研究はIJCDM(国際データマイニング会議)やICLR(国際学習表現会議)でベストペーパー賞を受賞しており、130本以上の論文と1万件を超える被引用数を誇るという。

迂回路だらけのキャリア

Nevilleは学生時代、父親がコンピュータサイエンス系の仕事をしていたため「父と同じことはしたくない」という反発からあえてその分野を避け、数学・物理学・認知科学と転々としたことを明かした。一時は大学を中退し、社会人を経て復学。コンピュータサイエンスを専攻したのも、当初はデータ処理への興味からであり、AIに出会ったのは「ただの偶然」だったと語っている。

「誰もまだ知らないことを、自分が理解できた瞬間の感覚が忘れられなかった。まるでドラッグのようで、その感覚を追い続けてここまで来た」とNevilleは表現している。

産学の架け橋:サバティカルからMSRへ

NevilleがMicrosoftリサーチに関わるようになったきっかけは2回目のサバティカル(研究休暇)だったと説明されている。1回目はバークレーのサイモンズ研究所で理論寄りの研究に専念したが、2回目にMicrosoftリサーチでサバティカルを過ごしたことで、理論が実際のシステム・ユーザー・データとぶつかる現場を目の当たりにした。「そこから引き返すのは難しかった」と語り、現在も在籍を続けている理由を説明した。

産業界と学術界の研究の違いについては、「問いの性質は根本的によく似ているが、産業界では実際のスケールで実システムに適用できる点が大きく異なる」とNevilleは述べている。

マルチターン会話とAIの複雑さへの挑戦

ポッドキャストの紹介文によれば、Nevilleの研究はAIのインタラクティブなドメイン、すなわち人間とAIが繰り返しやり取りを行う場面に焦点を当てている。ICLRでベストペーパーを受賞した研究は「LLMs get lost in multi-turn conversation(大規模言語モデルはマルチターン会話で迷子になる)」というタイトルで公開されており、複数回のやり取りを重ねる対話においてモデルが複雑さを扱いきれない問題を示したとされている。

AIシステムが「想定外の失敗」を起こすとき、それは単なるバグではなく、学習データの構造やモデルの評価設計の問題を映し出していることが多いとNevilleは論じているようだ。こうした失敗から何を学べるかを問い続けることが、より信頼性の高いAIを構築するための鍵だという立場が、今回のエピソード全体を通じた主題となっている。

ポッドキャスト情報

本エピソードはMicrosoft Research PodcastとしてApple Podcasts・Spotify・RSS等で配信中。映像版はYouTubeでも視聴可能となっている。


出典: What AI gets wrong and what failure teaches us