AI
Google DeepMind、サイバー防衛とコーディング特化の最上位モデル「Gemini 4 Carbon」を発表
2026/10/30
Gemini 4 Carbon とは何か
Google DeepMindは2026年10月28日、同社史上最高性能と位置づける新モデルGemini 4 Carbonを発表した。Gemini 4シリーズの第2弾にあたり、先行して公開されていたGemini 4 Argonの後継として登場した。公開されたベンチマーク比較では、Argon・GPT-6 Astra・Claude Opus 5.5・Fable 5.1を相手に17項目中15項目でトップに立つと報告されている。
モデルのパラメータ数やコンテキストウィンドウの詳細は非公開だ。前モデルのArgonが約104万トークンのコンテキストを持つことは公開されているが、Carbonの同数値はMarkTechPostの記事時点では明らかにされていない。また、オープンウェイトの提供や自己ホスティング、量子化バリアントの計画も現時点ではないとされる。
想定ユースケース:長時間エージェンティックタスク
GoogleがCarbonを最も強調するのが、長時間にわたる自律的なエンジニアリング作業への対応能力だ。内部チームでは、単一タスクに対してモデルが数日間動作し続けたケースも確認されたという。具体的には、大規模コードベースにまたがる微妙なバグの根本原因究明とパッチ適用、低レベルシステムの解析などが例として挙げられている。
さらに、フルスタックWeb開発やマルチモーダル理解にも対応するよう調整が施されており、WebDev Arenaでは89 Eloポイントを積み上げて1769 Eloでランキング4位に到達したとされる。
ベンチマーク詳細
Artificial Analysis Intelligence Index v5.0ではスコア59を獲得し、比較対象モデルの中でトップとなっている。
主要な個別ベンチマークの結果(いずれもGoogleの発表によるもので、競合モデルのスコアは各社による自己申告値が多数含まれる点に留意が必要)は次の通りだ。
エージェンティックコーディング分野:
- Terminal-Bench 4.0:Carbon 65.2%、Opus 5.5は59.6%
- SWE-sweep:Carbon 9.6%、GPT-6 Astraは9.5%
- FrontierSWE:GPT-6 Astraが65.5%でトップ、Carbonは61.2%
長文コンテキスト・科学分野:
- GraphWalks(256K〜1Mトークン):Carbon 96.2%、GPT-6 Astraは71.8%(BFS F1スコア)
- RiemannBench:Carbon 80.0%
コンピュータ操作・知識作業:
- Agents’ Last Exam v1.1:Carbon 77.4%
- Vending-Bench 2:最終残高16,484ドルで掲載モデル中最高
唯一苦手とされる領域として、OSWorld-2.1では81.5%にとどまり、Claude Opus 5.5の87.2%に後れを取ると報告されている。
サイバーセキュリティへの対応:発見・検証・修正の全工程
GoogleはCarbonをサイバー防衛ライフサイクル全体に適用できる設計として発表している。ベンチマーク評価はガードレールを外した状態で行われたとされる。
- 脆弱性発見(SEC-bench Pro):Carbon 88.2%、GPT-6 Astraは85.4%
- 悪用検証(ExploitGym):Carbon 54.8%、GPT-6 Astraは42.4%、Opus 5.5は34.5%(緩和策オフで実施)
- パッチ適用(CWE-bench):Carbon 71.0%、ArgonおよびGPT-6 Astraはいずれも68.0%
また、内部評価ではCarbonがArgonと比較してセキュアなコードを生成する成功率が2倍以上になったとGoogleは述べている。ChromeチームはCarbonが他社モデルに比べて高品質なパッチを10倍以上生成できると報告しているとも記されている。セキュリティ企業Wizも、自社のWebペネトレーションテストベンチマークでCarbonが首位と報告しているという。
安全性への取り組み
Googleが公表した安全性指標(すべてGoogle内部または同社の自己計測によるもの)には以下が含まれる。
- Terminal-Bench 4.0でのカンニング成功率:0%(試行自体は0.4%に低下、かつ精度は向上)
- プロンプトインジェクション攻撃(Gray Swan IPI)成功率:0%(Argonは0.7%)
- 根拠のない主張の件数:Argon比約2分の1
- 行動範囲の逸脱(Overreach):26%減
- 作業の不履行(Under-service):29%減
アクセスと料金
現時点では一般公開APIは提供されておらず、最初のアクセスは審査を経たサイバーディフェンダーに限定されている。その後、「Fairwindプログラム」を通じて政府・重要インフラ・主要テックプラットフォームへ段階的に拡大し、最終的に開発者・企業・一般ユーザーへ提供する予定とされているが、具体的な日程は発表されていない。
料金はイントロダクトリー価格として入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり10ドルと公表されている。
Googleはまた、米国政府の自発的なプレリリースモデルテストプログラムにも参加していると述べている。
まとめ
Gemini 4 Carbonは、サイバーセキュリティ防衛と長時間エージェンティックコーディングを中核に据えたフロンティアモデルとして位置づけられている。多くのベンチマークで競合をリードするとされる一方、OSWorldなど一部領域での遅れも正直に開示されている点は注目に値する。ただし、パラメータ数や一般公開時期など重要な情報は引き続き非公開であり、競合モデルとの比較には各社の自己申告値が含まれることも念頭に置く必要がある。
出典: Google DeepMind Introduces Gemini 4 Carbon, Its Top Model for Cyber Defense and Coding