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Factory、コーディングエージェント「Droid 1.0」公開——プログラム型ツール呼び出しで効率を大幅改善
2026/11/01
Factory Droid 1.0とは
Factoryは、コーディングエージェントハーネスの最大アップデートとなる「Droid 1.0」を公開した。Factoryの定義によれば、ハーネスとはモデルを取り囲む一切の仕組み——プロンプト、ツール、ツール結果の返し方、そしてループ全体——を指す。ユーザーは使用するモデルを自分で選択するか、「Factory Router」によるコスト効率重視の自動選択に委ねることができる。
最大の変更点:プログラム型ツール呼び出し(PTC)
従来のエージェントループでは、ツールの出力が毎回モデルのコンテキストに積み上げられていた。Droid 1.0が採用する**プログラム型ツール呼び出し(Programmatic Tool Calling、PTC)**では、モデルがツールを直接呼ぶ代わりに、ツール群を操作するプログラム自体を書く。
Droid 1.0はこれを Script ツール として実装している。モデルはサンドボックス内で動作するJavaScriptを記述し、そのスクリプトが複数のツール呼び出しをまとめて実行する。サンドボックス自体にファイル・ネットワーク・システムへの直接アクセス権限はなく、生のファイルや検索結果、ログはプログラム内に留まり、printされた出力のみがモデルに返るという設計だ。並列実行が可能な呼び出しは同時に処理される。このアプローチはCodeAct(Wang et al., 2024)の研究に着想を得ていると記事では説明されている。
Factoryが公開した社内セッションの数値によれば、この方式の効果は顕著だという。
- ユニットテスト修正タスク:15回のツール呼び出しをモデル呼び出し10回ではなく5回でこなし、処理時間は56.8秒から41.6秒に短縮された
- Linearイシュー整理:151件のイシューの移動と確認を312回のツール呼び出しで実施。Scriptモードでは2リクエスト・約61,000トークンで完了したのに対し、直接呼び出しのモデルでは36リクエスト・約310万トークンを要すると試算されている
- CI sweep:547回のランにわたる5,384ジョブをわずか2リクエストで処理。ツール結果のうちモデルのコンテキストに届いたのは0.1%未満だったとされる
Script モードはGPT-6.1 SolやKimi K3を含む10モデルでデフォルト有効となっており、Claude Opus 5.5との比較では直接ツール呼び出しと比べてコストを15%削減できると報告されている。
ベンチマーク結果
Factoryの自己報告によれば、Droid 1.0はTerminal-Bench 4においてテストした全ハーネスの中で最高のパス率を記録している(同一モデル・同一条件での比較)。
- Claude Opus 5.5との組み合わせ:65.2%のパス率、タスク通過あたり4.73ドル。Opus 5.5を使った他のハーネスと比べて最大24%安く、16〜26%速いとされる
- GPT-6.1 Solとの組み合わせ:57.6%のパス率、タスク通過あたり0.79ドル。Codexより12%安い一方、タスク通過あたりの時間は10%長いとも報告されている
なお、これらの数値はFactoryによる自己報告であり、ベンチマーク実施期間は2026年10月23〜28日(各タスク3試行)とされている。
ハーネスのその他の改善点
プログラム型ツール呼び出し以外にも、Droid 1.0では多くの改善が加えられている。
- ベースプロンプトの削減:最初のリクエストで送信される入力トークンが20,887から13,055に37%削減。事前に送付するツール定義数も11から2に絞られた
- キャッシュ効率の向上:典型的な本番リクエストでは入力の98%をキャッシュから読み込む。新たに読み込まれたツールは末尾に追記されるため、キャッシュ済みプレフィックスが保持されやすい設計になっている
- コンパクション容量の拡大:コンパクションサマリーの上限が8,000トークンから16,000トークンに倍増。同一のツール呼び出しが3回連続するとモデルへの注意喚起が行われ、6回でループが停止する
- 起動・終了速度の改善:最初の表示までのメディアン時間が1,839ミリ秒から488ミリ秒に短縮。終了時間のメディアンも648ミリ秒から30ミリ秒へと大幅に改善された
- メモリ使用量の最適化:セッションがデーモンプロセスを共有する構成に変わり、追加セッションあたり約20MBの増加に抑えられた(従来はプロセスごとに約350MB)
対応環境
Droid 1.0はmacOSおよびWindowsのデスクトップアプリ、ターミナルUI、Node SDK(@factory/droid-sdk)で利用可能。独自のAPIキーを含む任意のサポートモデルで動作するとされている。
出典: Meet Factory Droid 1.0: A Model-Independent Coding Agent Harness Built on Script Mode