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Deep Principle、753Bオープンウェイト科学特化モデル「Hydrogen-1.0」を公開——FrontierScience-ResearchでGPT-6-Astraを上回ると報告
2026/11/03
Deep Principle、科学研究特化の753Bモデル「Hydrogen-1.0」を公開
中国・杭州に拠点を置くAI-for-materialsスタートアップのDeep Principleが、科学研究支援を目的としたオープンウェイトモデル「Hydrogen-1.0」をリリースした。パラメータ数は753B(MoEアーキテクチャ、アクティブパラメータは約40B)で、最大100万トークンのコンテキストと128Kトークンの最大出力長を備える。ウェイトはMITライセンスで提供されており、Hugging Faceから取得可能だ。
ベースモデルと訓練パイプライン
Hydrogen-1.0は、Z.ai(智谱AI)が開発したオープンベースモデル「GLM-5.3」を出発点とし、科学ドメイン向けにポストトレーニングを施したモデルと位置づけられている。訓練パイプラインはSFT(教師ありファインチューニング)と強化学習(RL)を組み合わせており、以下の4種類のデータソースが使用されたとされる。
- ドメイン知識データ:化学・材料科学・生命科学の専門データ
- 研究シナリオデータ:Deep Principleの科学者によるタスク固有フィードバック
- 電子実験ノート(ELN)記録:同社の研究支援ツール「Mira」を通じて収集した実験の全サイクル記録
- 探索軌跡データ:失敗例を含む意思決定と結果フィードバックのシーケンス
インフラはMegatronとSGLangをベースにNVIDIA CUDAおよびAMD ROCmで構築されており、動的スパースアテンションを文脈並列シャード全体でcausalに保持する設計が採られているとされる。なお、訓練に使用したデータセットや詳細なレシピは現時点では公開されていない。
ベンチマーク性能
Deep Principleが自己報告した評価結果によれば、Hydrogen-1.0は科学研究分野の複合ベンチマーク「FrontierScience-Research」においてパスレート 38.3% を達成しており、GPT-6-Astraの33.3%を5ポイント上回ると主張している。また、GPQA-Diamondでは93.0%を記録し、Kimi-K3とほぼ同水準であるとも報告されている。
GPT-6-Astraとの内部タスク比較(最大思考モード使用時)では以下の差異が報告されている。
- 科学計算:Hydrogen-1.0が+5.13ポイント優位
- 反応予測(順方向):Hydrogen-1.0が+4.76ポイント優位
- NMR構造解析:GPT-6-Astraが3.33ポイント優位
遷移金属錯体(TMC)設計タスクでは、5ラウンドにわたりHOMO-LUMOギャップの最大化を競った結果、Hydrogen-1.0が平均最良値4.318 eVを達成。GPT-6-Astra(3.689 eV)およびKimi-K3(3.353 eV)を上回ったと報告されている。実験計画を問う117問のQAタスクでもKimi-K3を上回ったとされる一方、GPT-6-AstraとOpus-5.5はリクエストの50%以上を拒否したため比較対象から除外されたという。
これらのスコアはすべてDeep Principleによる自己報告であり、独立した第三者評価ではない点に留意が必要だ。
対応ハードウェアとデプロイ方法
モデルはBF16(非量子化)、NVFP4(NVIDIA Blackwell B200/B300向け)、MXFP4(AMD Instinct MI350X/MI355X向け)の3フォーマットで配布されており、SGLangを使ったセルフホストが可能だ。ホスト型APIはNeuroSpark経由でも提供され、同社の研究支援プラットフォーム「Mira AI Scientist」にも統合されている。
公開の背景と意義
Deep Principleは「近年のAI科学研究の成果は主にクローズドモデルによるものであり、その発見能力は公開されていない」とし、Hydrogen-1.0を「再現可能で検証可能な代替手段」として位置づけている。科学分野の大型オープンウェイトモデルは依然として限られており、MITライセンスによる完全な重みの公開は研究コミュニティにとって注目に値する動きといえる。ただし、訓練データや詳細なレシピが非公開であることや、ベンチマーク評価が自己報告に留まっていることから、独立した検証が待たれる段階でもある。
出典: Deep Principle Releases Hydrogen-1.0: A 753B Open-Weight Model for Scientific Discovery